ポイント・オブ・ケア検査(POCT)II:応用分野と市場動向

医療検査の潮流が変化する中で、疾患のスクリーニング/診断/治療/フォローアップは、臨床現場から家庭環境へと徐々にシフトしています。症状評価は医師の診療だけに依存せず、適切な機器と指示により個人が一次的評価を行い、その後に適切な診療科を受診することが可能になりました。こうした変化を牽引しているのが**POCT(定点照護検査)**です。

比翼生医 医療アフェアーズ マネジャー 陳 長溢

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POCTとは 

POCT(Point of Care Testing)は、時間・場所・実施者の制約を受けずに行える検査を指します。簡便な採取、検査機器、明確な操作ガイドにより迅速に結果を得られるため、従来の医師オーダー → 採取 → 中央ラボ搬送 → 結果待ち → 再診といった多段階プロセスを簡素化します。
これにより、患者と医療者の時間を節約し、国民の医療リテラシー向上にも寄与します。POCTの応用は広く、疾患領域別に以下のように分類されます。: 

  • 血糖管理: 血中グルコース、HbA1c

  • 血液ガス/電解質: 酸素、二酸化炭素、カリウム、ナトリウム、クロール など

  • 凝固: プロトロンビン時間、血小板機能、血栓弾性図(TEG)

  • 感染症: 新型コロナウイルス、ウイルス性肝炎、HIV、梅毒、マラリア、インフルエンザ 等

  • 炎症: CRP(C反応性蛋白)、PCT(プロカルシトニン)

  • 妊娠・不妊: hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)、LH(黄体形成ホルモン)

  • 心臓マーカー: ミオグロビン、心筋トロポニン

  • 腫瘍マーカー: AFP、CEA、PSA 等

  • その他: アルコール、薬物、ラクトパミン、メラミン など

定義上はいつでもどこでも実施可能ですが、実務上は十分な専門知識・経験が必要な検査も多く、血糖・血液ガス/電解質・一部感染症は在宅でも実施可能な一方、その他多くは**臨床現場(検査室・救急・病棟)**での運用が中心です。

市場動向 

**体外診断(IVD)の歴史が長い欧米が技術的優位と安定性を背景に、POCT市場をリードしています。主要プレイヤーはロシュ(スイス)/アボット(米国)/シーメンス(独)/ダナハー(米国)**です。 

  • ロシュ(Roche): 1896年創業、スイス・バーゼル本社。医薬・診断の世界的リーダーで、POCT分野でも先導的地位。糖尿病マネジメントや分子診断に強み。

  • アボット(Abbott): 1888年創業、米国イリノイ州本社。糖尿病、感染症、母子保健など幅広いPOCT製品群を展開。

  • シーメンス(Siemens): 1847年創業、独ミュンヘン本社。エレクトロニクス/エンジニアリングのグローバル企業で、ラボ診断に注力。

  • ダナハー(Danaher): 1969年創業、米国ワシントンD.C.本社。多角化したサイエンス&テクノロジー企業で、分子診断、血液ガス、病理などのPOCT領域を重視。

この他にも、大手企業が新規事業/事業転換/M&AでPOCT市場に参入し、スタートアップも革新的POCTの開発を加速しています。

ポストコロナ時代、健康観・医療モデルの変化により、医療は日常生活と一体化しつつあります。技術革新、スマートヘルス、国民的ヘルスリテラシーの高まりを背景に、POCTは今後、より自律的で負担の少ない生活を実現していくでしょう。

お問い合わせ: Bryant.chen@be.tworg.app